皆さんご存知の”鶴の恩返し”
あるおじいさんが、罠にかけられた鶴を助けます。
その夜、猛吹雪の中玄関をたたく音がします。
開けると、若い娘が道に迷い一夜の宿を求めます。
快く泊めてあげると、お礼に布を織りたいと言います。
「でも仕事をしているときは決して部屋を覗かないでください」と娘さんは懇願しました。
そして目にも鮮やかな織物が出来たのです。
町に持っていくとあっという間に高額で売れ、注文が殺到します。
娘さんは部屋に篭り毎日ハタを織りつづけました。
それにしても見事なできばえです。どんな技術なんだろう、おじいさんは知りたくてなりません。
ついに約束を破ったのです。
襖を少しあけ覗いて見たのです。部屋にいたのは、羽根がほとんど抜け落ちた、あの助けた鶴でした。
「こうして見られてしまったからには、もうここにいることは出来ません」そういい残し鶴は空高く舞い去っていったのです。
さて、その後の物語があるのです。
おじいさんは深く後悔します。バブルが崩壊し、生活が困窮しました。
役所の不手際で年金も全額もらえていません。
「アア!もう一度鶴が来て生活を助けてくれないかなー」と毎日嘆いていました。
その願いが通じたのです。ある日何とまた、娘に姿を変えたあの鶴がやってきたのです。
「今度こそ約束を守ります。部屋は決して見ません」
おじいさんは力を込めて宣言しました。
ところが夜中になっても朝が来ても、娘は一向に姿を現しません。ついに昼を過ぎ二日目の夜を迎えました。
お腹がすいているだろうなぁ、具合でも悪いのではないだろうか、気になって仕方がありません。
約束を忘れつい部屋を開けてしまいました。
部屋に鶴(娘)はいませんでした。
よく見ると、タンスも金庫も、貴重な掛け軸、絵画何一つ無くなっているのです。
壁に一枚の張り紙が残されていただけです。
”私は鶴ではありません。鷺(さぎ)です”