ハンナ・ブレイデイさんの青春は13歳で終わりをつげました。
彼女は1931年チェコスロバキアで生まれました。しかしそのころのドイツでは、アドルフ・ヒトラーがナチス党の党首になり、独裁政治を行い遂には世界支配をたくらみ戦争を引き起こしました。そして、戦争に反対する人だけではなく、じゃま者、気にくわない者を何の理由もなくみな殺しにする計画をたてました。
特にユダヤ民族は徹底した弾圧を受けました。ユダヤ人に生まれたという理由だけで、殺された人の数は600万人以上、そして子どもがそのうち150万人以上もいたのです。ハンナ・ブレイデイさんもその犠牲者の一人です。
彼女はプラハ近くのテレジン収容所に入れられ、そこからポーランドのアウシュビッツ収容所に移され、そこで殺されました。でも、ハンナさんの写真・絵・そしてカバンは今、東京の“ホロコースト教育資料センター”に残されています。
ホロコーストとは大ぎゃくさつ虐殺という意味です。このセンターの代表、石岡史子さん達が、大変な苦労の末にやっと探しあてたものです。
1944年10月23日の真夜中、貨車で連れ出されたハンナさんは、その日のうちに毒ガス室に入れられ、13歳の短い一生を閉じました。「カバンはそこに置いていけ」、兵士の命令でした。そしてハンナさんのカバンだけが残されたのです。もし生きていたら、76歳になります。(2007年現在)
ハンナ・ブレイデイさんは確かに13歳で生命を絶たれてしまいました。けれども、この資料センターにハンナさんのカバンや絵が残されています。その意味では、ハンナさんは永遠に13歳の青春です。彼女は今も私達に訴えかけています。「平和の大切さ、生命の大切さ、そして、戦争のひさん悲惨さ」を。
『ハンナのかばん』カレン・レビン